青森の生家とはほぼ絶縁状態だった太宰は、風土記執筆の依頼を受けて津軽へ向かうことに。
豊かな筆致で懐かしい記憶、青森の風土、人々との交流の様子が描かれています。
太宰が人としての生きづらさを感じている作家だからこそ、『津軽』は生き生きと読者の目にうつります。
「命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」
青森の生家とはほぼ絶縁状態だった太宰は、風土記執筆の依頼を受けて津軽へ向かうことに。
豊かな筆致で懐かしい記憶、青森の風土、人々との交流の様子が描かれています。
太宰が人としての生きづらさを感じている作家だからこそ、『津軽』は生き生きと読者の目にうつります。
「命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」
「メロスは激怒した。」
有名な書き出しですが、政治もわからず、羊と遊んで暮らしているメロスは、なぜこんなに怒っているのでしょうか。
人を信頼できなくなった国王ディオニスは、罪のない臣下や家族まで殺してしまいます。なぜ、ここまで疑心暗鬼になっているのでしょうか。
急に身代わりにされたセリヌンティウスは、なぜメロスのことを信じて待っていられたのでしょうか。
物語は単純ですが、彼らには「描かれていない空白」があります。
そこにはなにがあったのか。大人になった今なら、見えるものも増えたかもしれません。
蟻のような夫を愛していたのに、画家として成功したらきりぎりすになった。
上司の前でぺこぺこしていたくせに陰口を叩くようになった。
昔の恩恵を忘れた。清貧なんかじゃない、わがままな楽天家。最低。不潔な声。
たぶん、この世で生きるにはあなたが正解。
あなたのことは好きだったけど、でもわたしのどこが間違っているのか分かりません。とにかく別れます。
あなたは早く躓けばいい。
蜜の味なんて知らないままでいいんですよ。
ありとあらゆる生きづらさを煮詰めたような小説です。
自らの罪を文学という形に究極まで昇華させて打ち明ける太宰文学の総まとめ
毒か薬か、太宰は最後の最後にこんな劇薬を遺していきました。
これは、人の世で生きづらさを感じるすべての人に飲んでみてほしい薬です。
一度試してみてください。きっと効きます。
太宰の最晩年の作品で、未完の絶筆です。
カラス声で怪力だけど見た目は美しい女性・キヌ子に妻のフリをしてもらい、
愛人たちに別れを告げていきます。
別離をテーマにしていながら作風は明るく、新しい人間関係の描き方になっています。
「グッド・バイ」と別れる主人公は惚れさせ上手の別れ上手です。
すとん。
一直線に駆け寄り、膝の中で丸くなる時、思わず、その、もふもふに顔をうずめてしまう。
ネコたちから伝わる、癒しと労りの力、シンパシーは独特。
世界までもが、丸く優しくなれる、神秘。
明日という、特別な日を受け入れる、銀色の、緑色の、月のような瞳たちは、見上げた空の青さを、何色と名付けるのだろう。
思わず寄せた頬に、鼻に、彼らの、もしくは彼女らの一日と風景を思い描く。
そんな、以心伝心。
また、その匂いが、我々の体内にまで染み込まれる時、少しだけネコにとろける。
人生にリセットボタンなんてない。
そう信じかけた時、急にしんとする部屋を眺めまわした。
ふと手に取った一つのモノが、ポツリと語りかけてくる。
物語るモノの物語が、心の奥底まで共鳴していった。
モノと互いに心で響きあうこと。
それは、毎日の中に溶け込んだ出逢いと触れ合いの繰り返しで、磨き上げること。
まるで、自分のかけらを選りすぐるように、耳を澄まし、敏感に冴えた心を育てること。
そして、私たちは聞き逃したりはしない。
この胸の高鳴りを。
再び始動する、このプログラムを。
今、、、
きゅん—。あ、聴こえた。
思えば、人と遠く離れた時。
強く、人恋しいとしみじみ感じるものだ。
人と隣り合うことは、必ずしも近づきすぎることではない。
何にも染まらず、自己と真っ当に向き合い、日常の中で、心の深淵に立つ姿が、形なき自然を追求し、解放を求める姿が、
静寂の中に、静慈彰さんが聴き取った、星々の音色に重なった。
孤独という空に浮かんでいたのは、遥か遠くにまたたく、光の温もりと優しさだったのかもしれない。
そして、ハンドルは握られるのだろう。
どこまでも、自由に。
新たな出逢いの方角へ。
標識もないままに。
いちご色の壁の部屋に、キャンディのようなアクセサリーとカラフルな柄のワンピース。
この本の女性が、『魔女の宅急便』で知られる児童文学作家の角野栄子さんだってご存知でしたか?
シンプルでシックな暮らしにも憧れるけど、角野栄子さんの魔法をかけたようなカラフルな暮らしに、
こんな風に歳を重ねられたら素敵だなぁと感じさせてくれる一冊です。
色とりどりの刺しゅうを、一針一針刺すことで描かれる刺しゅうの世界。
既に始めている方も、これから始めようと思っている方も、
手仕事の魅力が詰まった刺しゅうのある暮らしを少し覗いてみませんか?