著者のデビュー作であり、第26回太宰治賞受賞作品。全く予備知識なく読み始めても、物語の世界に引き込まれ、一晩で読み終えてしまいました。
「-もしもし、こちらあみ子。応答せよ。」どこにも繫がらないトランシーバーで“誰か”を呼び続けるあみ子。自分を守る術を知らず、直球で周囲に体当たりしているあみ子は、私たちが失ってしまった、純粋でそれはそれは美しい宝石のようなものを、心に持ち続けているのでしょう。一人でも多くの方に読んでもらいたい作品です。
スタッフのおすすめ
みなさんは、どんな姿に美を感じますか?
瞳が印象的な女性の肖像画。はっとするような、身体の内部まで見える背中。何人もの人達が話をしている中、ひときわ目立つ手。
この本には、アート作品として描かれた、いくつもの美しい身体が載っています。絵が何を発しているのか、作者の意図はどのようなものなのか、思わず考えてみたくなる作品ばかりです。
芸術の知識があってもなくても、みなさんの感じるままに楽しむことができる一冊です。読み終わった後には、新たな美を探しに美術館へ行ってみるのもいいかもしれません。
アンドロイドに支配された世界で、人間であるあなたは一体何を信じますか?
遠い未来、人間たちが衰退し、アンドロイドが地球の支配権を得た世界。
アンドロイドから隠れて暮らす人間たちのコロニーに、物語の読み聞かせをしながら渡り歩く、人間の『僕』。
アンドロイドから7つの『物語』を読み聞かせられた彼が知る、この世界の”真実の歴史”とは?
「蘭花は私の春だった」
美貌も家柄も完璧な大学生の蘭花と、そんな彼女に親友として選ばれたと思う留利絵。このまま二人の友情は続いていくかと思われましたが、一人の男の出現で崩れていくことに…。
恋人を支配する女性に、今までになかった嫉妬と屈辱を味わう蘭花。友人の声も耳に入らない蘭花の姿はまさに盲目的な「恋」。
そして美しい蘭花にコンプレックスを持つ留利絵。それでも「友情」だけあれば良かった彼女はある行動に出ます。優越感、嫉妬、劣等感…。
ヒリヒリする感情の嵐が辻村さんらしさ全開の一冊となっています。
「ひどくおちこんでいるときにそっとささえてくれたんだ」
この絵本では『かべ』が優しさの象徴として描かれています。
かべは何も話せませんが、すべてのことを受け入れています。
あなをあけられて花を植えられても、その花のためにじっとがまんをしています。
花が生きていくために自分は痛みを受け入れているのです。
かべがなくなる前、次々に「ありがとう」を言う登場人物たち。
そっと支えてくれている人があなたの側にもいるのではないでしょうか。
みんなが感謝をしたその時!
その瞬間の感動をしみじみ味わってみてください。
著者・谷川俊太郎氏の詩集を読むと、凝り固まった心や身体が、自然とほどけていくような気がするのは、私だけでしょうか。様々な詩を読んでいく中で、言葉はこんなにも自由で、美しいものなのだと実感します。そして自然の美しさや、何気なく過ごしている日々の中に、とても大切なものがあるような気がしてなりません。谷川氏の詩をぜひ読んでみてください。そして、言葉と心の旅に出てみませんか?あなたの言葉と心のドアがきっと開かれるでしょう。
昨晩に起こった、不思議なお話。夜中、男の子の家に突然やってきたくまの子、『よるくま』。男の子とよるくまは、よるくまのお母さんを探しに夜の街とへ出かけます。こんなにもかわいいよるくまを置いて、お母さんは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。テーブルの下?トイレの中?どこにもお母さんは見当たりません。とうとうよるくまは泣き出してしまいました…。
読み終わった後に、思わずよるくまを抱きしめてあげたくなるような、温かい、親子の愛を感じることができる絵本です。
一生に一度のウェディング、忘れることの出来ない一日にしたくありませんか?
格式高い厳かな式。それももちろん素敵です。ですが今回は、もう少し遊び心やちょっと変わったこだわりを持ってみるのはどうでしょう?
結婚式の段取りや、コンセプト・テーマカラーから始まり、メインのケーキやギフトまで。ハワイでウェディングプランナーとして活躍していた著者が書いた、結婚式のアイデアブックです。ハワイ独特の華やかで色鮮やかな結婚式の様子に、魅かれる方も多いのではないでしょうか。素敵な一日を作るための参考書として、ぜひ手に取ってみてください。写真が多く、目でも楽しむことが出来る一冊です。
リッツ・カールトンが、いくつもの伝説のホスピタリティを提供し続けるには、理由があります。それは「クレド」と呼ばれる企業哲学の共有が徹底されているからです。
「クレド」とはどういうものかを深く理解することから企業と従業員との好循環が生まれます。相手を思いやることは、ホスピタリティの原点でもあり、お客様だけでなく仲間を大切に思う気持ちがサービスに繫がります。顧客満足と従業員満足のどちらの観点からも参考になる一冊です。
イチゴ、桃、サクランボ…。皆さんはどんなフルーツがお好きですか?おいしい文藝シリーズ第9弾として出版された本書は、フルーツにまつわる作品を集めたショートエッセイ集です。お気に入りのフルーツを食べたときの幸福感、家族や友人との思い出、おすすめのレシピなど、著名人42名による十人十色の作品を楽しむことができます。中でも、光野桃さんの「果物の一夜」は心地の残る幸せな家族の情景をつづった、とても素敵な作品です。新たな作家との出会いを求めている方にも、ぜひおすすめしたい1冊です。